そっか…。
普通は、そうだよね…。

「納得した?じゃ、次の質問どうぞ」

あたしの顔つきですぐにわかったのか、氷メガネがそう促した。

彼の言葉を受け、香菜さんの事と同順位くらいで気になっていた質問を投げかけた。

「親御さんは?親同士が決めたって言ってたけど…」

この質問には、いつも即答だった氷メガネが少しだけ動揺を見せた。

「うん…。多分それが一番厄介かもしれない」

やっぱり…
恐れていた事が図星だったとわかり、あたしは次に出る氷メガネの言葉をドキドキしながら待つ。

しかし氷メガネは黙ったまま、次の言葉を発しようとはしなかった。

不安になったあたしは沈黙が続く事に耐えられず自分から話を振った。

「この前、麻美に言われたの。噂だけど、伊藤内務次長はお金持ちのお坊ちゃんだって。
だからその…もし将来の事とか考えてるなら…その辺りの事もよく話し合っておけって…」

「ふーん…。時田マネージャーは知ってたんだ…。それにしても、なかなかまともな事言うじゃないか」

麻美の指摘を意外だと思っている事が、彼のその表情からすぐに見て取れた。
あたしは麻美が心配する理由を氷メガネに話す。

「そりゃそうよ…。多分、すごく心配してる…。香菜さんが来た時、麻美も一緒にいたから…。香菜さんの存在を知らなかったら、きっとそこまで言わなかったと思う…」

これは氷メガネも知らなかったようで、驚いている。