「…てわけでも…ないけど?」

あたしはシレッと嘘をついた。
でも麻美は一筋縄では行かない。

「またまた~!お肌がいい感じに潤ってるじゃない?満たされてるんだね~!ねぇねぇ、内務次長ってさ、どういうタイプ?やっぱりS?」

「ちょっと、朝からする話題じゃないでしょ!」

あたしはいい加減抑えられず、麻美に文句を言った。

「ごめん、ごめん。じゃあさ、今夜飲みに行こうよ。夜なら話してくれんでしょ?」

「はぁ?冗談言わないでよ!なんでアンタと飲みに行かなきゃいけないわけ?そんな時間あるんだったら…」

あたしはそこまで言いかけてやめた。

「何?あたしと飲みに行く時間あるんだったら…内務次長と会うってか?」

麻美は笑いながらそう言った。
あたしは自分がつい口をすべらせそうになった事を悔やむ。

一度咳払いをしてから麻美に言った。

「…とにかく…。来年からはちょっとは…その…ヒマになるからさ。そうなったらいつでも付き合うって」

「そだね。内務次長が異動になったら、滅多に会えなくなるんだもんね。寂しくなるねぇ~」

もう…麻美のやつ、絶対楽しんでる!

「冗談ばっか言ってないで、仕事仕事!」

あたし達は揃って営業所に入った。