「見る目あるかどうかは…わかんないけど…。なんかね…出会いが最悪だったから、何も飾らなくていいのよ…。そのまんまの自分を出せるっていうか…。楽なのよ、一緒にいて」

あたし、自分の息子に恥ずかしげもなく何語ってんだろ…。

でも。
子供扱いするなってアイツに言われたもんね…。
人間対人間として付き合うべきよね。
子供だと思うから上から目線になるんだもん。

「うん…そういうのが一番いいんじゃねーの。母さん、最近すごく生き生きしてたぜ。俺が見た中じゃ、今の母さんが一番幸せそうだよ…。だから、アイツになら…って思えた…」

「晴彦…」

あたしはあったかい晴彦の言葉に涙が止まらなかった。

うちに着いて駐車場に車をとめると、少し離れた所で氷メガネの高級外車がとまった。
晴彦はすぐに車から降りると、一目散に氷メガネの所へ走って行った。

もう…なんなのよ…。
母親のあたしより氷メガネがいいなんて…。

車から降りてきた氷メガネは紙袋を晴彦に渡し、晴彦は嬉しそうに受け取っている。
そして二人で何やら楽しそうに話しをしながらあたしの方に歩いてきた。

「母さん、敏生さんがみやげも買ってくれてたわ。明日の朝はこれ食うからさ。あ、そうだ、一応一回家に入ったら?お泊りセットとかいるだろ?」

はい?? 

何よ、それ。
お泊りセットとか、アンタ母親に向かってそういう事言う?