ちょっと、なんでアンタにそんな事言われなくちゃいけないのよ!
あたしは少しキレ気味で言い返す。

「あたしにとっては、いつまでも子供なの!
親をバカにするような事を言わせるわけにはいかないから!」

「別にバカにしてねーし」

晴彦まで調子に乗って言い返して来る。

「ほら!誰かさんのせいで、晴彦が反抗してんじゃないの!いっつもは素直なのに…。どういう事?」

「素直じゃねーよ。めんどくさいからしゃべんねーだけ」

晴彦はぶっきらぼうな言い方をした。

そう…なの?
めんどくさいって、あたしと話す事が?

やっぱり難しいんだね、母親と息子って。
あたしは初めて聞く晴彦の本音に打ちのめされていた。

そこへ氷メガネが割って入ってくる。

「なあ、晴彦くん。お父さんとは、会ってんの?」

コイツは…
ただでさえ変な雰囲気のところへ、そんな事聞くなんて。
やっぱどこまでもKYだわ…。

でもあたしの思いとは正反対に、晴彦は氷メガネに答える。

「はい…、一ヶ月くらい前に。それからは会ってないけど。再婚したんすよ、親父。それで、奥さんに気遣って、これからはあんまし会えないって」

初耳だわ、そんな話。
晴彦が元ダンナと会ってる事も、直接晴彦から聞いた事はなかったし。

敢えてあたしも聞かなかったから仕方ないけど。

「お父さんに会えなくなると、やっぱ困る?
お母さんの前で言いにくいかもしれないけど、キミの気持ちが聞きたい」

会ってすぐのよく知らない男に、しかも自分の母親の男に、そんな事言えるわけないでしょーが!