氷メガネと待ち合わせしたレンタルショップの駐車場に車をとめたあたしは、待っている間に一服していた。
この緊張感をほぐすにはタバコはまさに救世主。

晴彦と二人の車中はまるで拷問部屋で…

それは今から約十分前にかわされた親子の会話。

「で、あのオッサンとどういう関係なわけ?」

「は?何よ、いきなり…」

あたしは突然核心に迫った息子に動揺を隠せなかった。

「いい。今の母さんの反応で大体わかった」

やっぱあたしがわかりやすいんだね…。
読心術なんて使わなくても誰でもわかるんだ…。

「あのさ…でも、晴彦の気持ちが大事なわけよ。お母さん、別にどうしてもっていうわけじゃないから…だから…」

言い訳がましく話すあたしに、晴彦がキレたように言い返す。

「んだよ、それ…。どうでもいい相手なら俺、会う気ねーからな」

「いやっ、そうじゃなくて!…ごめん。どうでもいい…人じゃ…ないの」

「ったく…。最初からそう言えよ!っていうかさ、三人でメシ行こうって言われた時点で、ある程度予想できっから」

ほんとに、息子に言われてちゃざまあないわね…。

あれ…?
でも…、晴彦は最初からアイツが特別な存在だってわかってたって事?

あたしは疑問に思った事を晴彦にぶつけた。