「確かにそうだよね。研修の時もすんごい仲悪かったし。けどあの時の内務次長はすごかったよね。嫌味ばっか言ってさ。さすがにあたしも腹が立って言っちゃったくらいだし」

ああ…
そういえば、そうだった。
あたしがアイツの講義中に居眠りしちゃって、すごい言われ方したんだっけ。
それに富美子が怒って、言い返して、また嫌がらせされて…

思えばすごい関係だったんだよね…。

それがまさか…
あたしにとってこんなに大切な人になるなんて…

「尚美ちゃん…。今、すっごく幸せそうな顔してるよ…。ほんとに、よかったね…」

「ありがとう…富美子のおかげだよ。アンタに勇気もらったから…、頑張れた…。だから、アンタもなんかあったら、遠慮しないで言ってね…」

あたしは今もなお、苦しい恋をあきらめきれずにいる富美子を少しでも楽にしてあげたいと思った。

だけど、あたしにできる事なんて…
話を聞いてあげる事くらいで。
それと、ただ心配する事くらい。

「うん…ありがとうね、尚美ちゃん…。尚美ちゃんも、何かあったら言ってよ…」

富美子は弱々しく微笑みながら、そう言った。