「まあね…。多分尚美ちゃんが見ても、絶対素敵だって思ってもらえる自信はあるよ!それくらい素敵なの…。もうね…何やってても素敵でね、一番素敵なのが車運転してる時でしょ、それと食べてる時の所作っていうの?
あれも素敵でね、それで、タバコ吸ってる時に足組んでる姿なんてもう…」

ちょっと待て!

タバコ?

あっ!!
M市の…TT建設…
営業…

水谷…
タバコ!

それって、こないだM市の喫茶店であたしの隣に座った人!?

やっとつながった…。

そっか…あの人が…富美子の好きな人…。
確かに夢見る乙女の富美子じゃなくても惚れちゃいそうなくらい、感じのいい人だとは思った。

そっか…どうりで、あたしの名刺に反応したわけだ…。

KK生命っていや、富美子とおんなじ会社だしね。
しかもI市の営業所だし。

けどまさかあたしが富美子と親友だとまでは、思ってないだろうな…。

あー、なんか、偶然ってあるんだね。
氷メガネとの偶然も多いっちゃ多かったけど、でもそれは同じ会社ってのもあるし。

まあ狭い田舎じゃ、行くとこ限られてるから不思議じゃないのかもしれないけど。

「尚美ちゃん?尚美ちゃん、どうしたの?」

「あ…ごめん。なんでもない…」

けどだからって、あたしが会った事を富美子に言う必要ないよね。
会いたくても会えないのに、あたしが偶然会ったなんて言ったら…

また気持ちが乱れちゃうかもしれない…。