「え?あ、う、うん…。水谷さん…っていうの。あたしが好きな人…」

恥ずかしそうに顔を赤らめながら富美子が言った。

「その人ってどんな感じの人?」

「え?…まあ一言で言うと…イケメンかなぁ。背がスラーっと高くって。あ、それとね、笑顔がまた素敵で…」

おっと…。

どっかで止めないと延々と続くな、こりゃ…。

「でさ、何やってる人なの?」

「…ん?ああ、あのね、営業してる。建設会社で」

建設会社の…営業…。

なんだっけ?
なんか引っ掛かってるんだけど…

「ねぇ、その人ってさ、M市で働いてんの?」

「そうだよ。M市のTT建設ってとこ。知ってる?」

イケメンで、背が高くて、笑顔が素敵…。
まあ、まるで氷メガネみたいね…

って違う違う!

M市で建設会社はTT建設で
営業…、営業…。
なんだっけな?

この並び…どっかで見た事あるような…

「ねぇ~、尚美ちゃん、なんでそんな事聞くの~?確かに水谷さんはイケメンだけど、尚美ちゃんが好きなのは内務次長でしょ?他に気を向けちゃダメだよ!」

コイツは…えらい勘違いしたもんだね…。

「んなバカな事するわけないでしょ。違うの、ちょっと気になったのよ。アンタがそこまで惚れ込んでる男がどんなヤツなのか」