麻美の言葉にハッとする。
言われてみれば頷ける。

いくら保険会社の給料がいいといっても、あの暮らしぶりは普通じゃない気はしてた。

それに…香菜さんという、許嫁の存在。
今の時代に許嫁なんているか、普通?

そういう所を考えると麻美の心配にも納得せざるを得ない。
やっぱりその辺もきちんと話しておくべきだよね…。

「やっぱ、きちんと聞いておいた方がいいよね。結婚するつもりだって言っても、本人だけの問題じゃないし…」

あたしのつぶやきに麻美が食いついてきた。

「え?何々?もう結婚の話になってるの!?まだ付き合い始めたばっかじゃないっけ!?」

しまったよ…。
つい口がすべって…

「ちょっと、尚美、どうなのよ!白状しろ!」

こうなるとしつこいんだよね、この人…。
あたしは観念して、すでにそういう話が出ている事を白状した。

「いや~ん!もぅ、氷メガネったら、せっかちなんだからぁ!尚美なんて、ほっといても誰にも取られる事なんかないのにー!」

ちょっとアンタ、いくらなんでも失礼でしょ、その言い方は。

「そうなんだけどね。やっぱ、本社に行くと遠距離じゃん?」

「え?本社って?異動になるの、氷メガネ?」

ヤバ…。
これってまだ言っちゃいけない事だっけ?

やっぱ舞い上がってんのかな、あたし…。
こんなんじゃ先が思いやられる。
もっと気を引き締めなきゃ!