どうしよう…。
料金がおそろしいことになってそう…。

あたしは不安な気持ちを隠して、係員に駐車券を差し出した。

するとあたしの後ろから、氷メガネがスッとカードのようなものを係員に提示した。
係員はそれを受け取り、何か機械にカードを通すと、駐車券と同じ形の紙が出て来てあたしに渡してきた。

「これは…?」

「お得意様専用の割引券です。最大五時間まで無料になります」

最大五時間って事は…
確かここへ来たのは午後三時過ぎくらいだったから、夜八時までは無料って事?

「多分、二時間分くらいしか取られないと思う」

あたしの横で氷メガネがつぶやき、お金を渡してきた。

「これくらいは払えるから…」

断るあたしに無理やりお札を握らせる。

「俺が我慢できなかったんだから…。これ以上、言わせんな…。照れくせーから…」

あたしは素直にお金を受け取った。

「ありがとう…、いつも払ってもらってばっかりで…ごめん」

ほんとにいつも高いお金を払わせてしまっている事に少なからず罪悪感を抱いていたあたしは、思っている事を素直に言った。

「別にいいって。身体で返してくれれば」

はいっ!?
今すごい事をサラッと言いましたよね…?

驚いて見上げるあたしに、優しく微笑み返してくれる。

この年になってからこんな幸福が訪れるなんて。
なんだか夢を見ているみたいだ。
夢であってもどうか覚めないで欲しいと強く願わずにはいられなかった…。