ハーッと息をついて、氷メガネはダイニングの椅子に座り直した。

「ちょっと急ぎ過ぎた…。俺としたことが、申し訳ない…」

こんな風に素直なコイツに慣れてないあたしは、わかりやすくドギマギしてしまう。

「あ、あたしこそ…スミマセン」

「何に対して謝るの?キスをやめさせた事?それとも、俺にコクらせた事?それとも…、俺に…こっから先を我慢させてる事?」

何を言いだすかと思えば…

コイツ、根っからのドSだ!
間違いない!

「全部違うから!」

あたしは思いっきり大声で言った。

「違うの…。ちゃんと、話したいの…」

あたしは真摯な態度でそう言った。
氷メガネは見た事もないあたしの様子に驚いたのか、真剣な表情になる。

「うん…。俺も、いっぱい話したい事、ある…」

「どうぞ、先に言ってくれていいよ」

あたしが言うと氷メガネは、真っ直ぐにあたしを見つめて言った。

「いや…多分、君の方こそ俺に聞きたい事がいっぱいあんだろ?言ってくれよ…。全部ちゃんと…答えるよ」

そう…、そうなのよ…。
いっぱい聞きたい事があって。
ありすぎなくらいあって…。
どこから聞けばいいのか…。