「それはだって…。いい気しないですよ、自分の彼氏が他の女を自宅に連れて来たりしたら…」

あたしの言葉を聞いて、氷メガネがいきなり大きな声で笑い出す。

「アッハッハ…!何を言いだすのかと思えば…。大丈夫。家にはいません」

え?
だって、先に帰ってろって言ってたよね…?

あたしが黙っていると、氷メガネが続ける。

「彼女は自分の滞在しているホテルに帰ったはずです。第一、私の自宅の場所を彼女は知りませんから。あなたが心配なさるような事はありませんよ」

そう、なの…?

あたしは今さらながら、変な誤解をした自分が恥ずかしくなった。

でも、ちょっと待って。

"彼氏彼女"の部分は、否定しなかったよね?
て事は、やっぱり、そうなの?
それに滞在してるホテルって?

あたしは自分の頭では解読できない事が多すぎてパンクしそうになっていた。

「とにかく、黙って来て下さい」

氷メガネの俺様ぶりが健在でいいのか悪いのか、あたしはコイツに従うしかなかった。

だけど一体、氷メガネがあたしに何の話があるというのだろう…。
話があるのはあたしの方なのに…。

でもまあ、いっか。
手間が省けたっていえばそうだし。

って、もうコクるのやめたんじゃん!

…どうしよう…。

あたしは今さら後悔してもどうしようもないのに、何を話していいのかと思い悩んでいた…。