ヤバい…。
思わず見てた…。

焦ってすぐに目をそらしたけど、男性が話しかけてきた。

「ほんと、タバコ吸いにとっては厳しいですよね。なかなか吸える場所がなくて」

あたしが思ってる事とおんなじ事を言ってる…。

まあ、タバコ吸いはみんな思ってる事だけどね。

「ほんと、そうですよね…。
まだ車の中で吸えるだけ、マシですけど…」

あたしがそう言うと男性は、「まったくその通りですね」と言ってまた微笑んだ。

その笑顔が結構素敵で、あたしは思わず微笑み返していた。
そしてなんとなく、あたし達はそのまま会話を続けてしまった。

その男性も営業らしく、あたしと同じように毎日いろんな所に自分の車を使って営業にまわっているとの事だった。

「営業って、なんのお仕事なんですか?」

あたしが尋ねると、その男性は住宅の営業だと言った。

逆にあたしにも尋ねてきたので、あたしは生命保険の営業だと言って名刺を渡した。
するとその男性も、どうぞと言って自分の名刺をくれた。