「…いえ…そういうわけじゃ、ないです…。一ヶ月一緒に過ごす人なんで、どんな人かと思って…。入社式で会えればよかったんですけど…」

『そうだよね…。でもね、ほんと、大丈夫だよ。あたしが保障するから。他の営業所の人は…わかんないけど。あ、でもさ、同じビルのもう一個のところは、確か里田(さとだ)マネージャーの娘さんだって聞いたけど』

ああ、そういえばあたしも麻美から聞いたような…。

『でもほんと、大丈夫だと思うよ。飯田さんが心配するような事は…多分ないと思う。それにさ、トレーナーも一緒でしょ』

トレーナーは確か、安嶋茂代(やすじましげよ)トレーナーと、福富雅子(ふくとみまさこ)トレーナーの二人だ。

研修中はほとんど教育トレーナーであるこの二人が講師となって勉強を進めていく。
二人ともあたしが以前勤めていた時からトレーナーとして働いているからよく知っている。

しかも福富トレーナーは子供が同級生で同じ高校という事もあり、とても話やすかった。

「そう、ですよね…。福富トレーナーと安嶋トレーナーがいるし…、大丈夫ですよね…」

『そうそう。それに、時田さんだっているんだからさ。もっと自信持ってやんなよ!それだけのもの、飯田さんは持ってるんだからね!』

相変わらず有難い言葉をかけてくれる妙子に感謝する。
あたしはお礼を言って電話を切った。