「あきらめなきゃ、いけない事は、わかってるの…。でもね…あきらめられないの。いつもいつも、彼の事思い出しちゃう。もう、家族の前で演技するのも…疲れちゃってね…」

富美子…
アンタ…本気、なんだね。

振られても思い続けられるのは…本気だって事だよ…。
いつもは大人しい富美子が…ここまで頑張ったんだもんね…。

あたしもウダウダ言ってる場合じゃないよ。

「わかった…。あたしも、頑張ってみる…」

「え…?ほんと?尚美ちゃん…」

「富美子がそこまで頑張ったんだもん…。あたしも…何もしないまま別れちゃったらそれこそ毎日泣いて暮らす羽目になると思うからさ…」

「そうだよ…。尚美ちゃんはあたしと違って堂々と告白していい立場なんだから…。玉砕されたとしても…やってみる価値あると思うよ?」

「玉砕って…。アンタ、追い討ちかけるような事言わないでよ…」

「ごめんごめん!…でも多分…大丈夫な気がするなぁ…」

「富美子ってそういう勘がいい方なの?」

「え?ううん、全然」

「何よそれ!」

あたしは思わず笑ってしまった。
富美子もつられて笑顔になった。

あたしも…アンタみたいに思い切って自分の気持ちをぶつけてみるよ…。
ダメかもしれないけど…富美子みたいに勇気を少しだけ出してみる。

大切な親友の姿が、あたしに一世一代の決心をさせてくれた。