「富美子…。多分あたしはアンタほどまだ追い詰められてないんだと、思うの。だから時間をとって、もう一回自分の気持ちにちゃんと向き合ってみる。アイツに言うのはそれからでも遅くないでしょ」

富美子を安心させたい気持ちも手伝い、明るく言った。
すると予想とは裏腹な富美子の反応に驚いてしまう。

「な、尚美ちゃん!いや…あの…でもさ、時間はあんまり…その、あけない方がいいんじゃないのかな。だってさ、やっぱり離れ離れになるわけで!連絡とれなくなっちゃう…可能性だってあるでしょ?」

どうしたの?
そんなに慌てて…。

あたしは突然の富美子の慌てようが不思議で仕方なかった。

「いや…そうだけど…。どうしたの?何か変だよ、富美子」

あたしが尋ねると、挙動不審にさらに拍車がかかる。

「そっ、そんな事ないよ?普通じゃん、いつもと一緒!」

いや、明らかにおかしいから…
なんだろう、急に。
どこからこうなったんだっけ?

あたしが思い出そうとしている横で、富美子はまだゴチャゴチャと何か言っている。

「富美子、アンタはあたしの事より自分の事を考えた方がいいよ?その人の事はもう、いいの?あきらめたの?」

あたしが質問すると、富美子はまた我に返ったように黙り込んだ。