なんか…人を好きになるのって楽しいばっかりじゃないね…。

あたしも富美子もこんなにも苦しんでる。
片想いだからってのもあるけど。

富美子の場合は…不倫になっちゃうもんね…。
子供の事だってあるし。

そっか…。
あたしより、富美子の方がよっぽど追い詰められてんじゃん。

それなのに、あたしのために…

人の事構ってる場合じゃないよ。

「ごめんね、富美子…。あたしよりアンタの方が重症じゃない…。大丈夫なの…?」

富美子はうなだれたまま答えた。

「もう、連絡しないでくれって…言われたの…。向こうからも連絡くれる事は、ないと思う…」

「コクったんだ…?」

「うん…。見事に撃沈…しちゃったけどね…」

そこまで…

好きになってしまったんだ…。

でも、振られちゃった。
キツいよね…。

「富美子…、アンタそこまで苦しんでても…コクった事、後悔してないの…?」

あたしの問いかけに、富美子は弱々しくも即答した。

「してない…。言わずにいられなかったから…。彼も…色んな事、抱えてる人でね。ほっとけなかったの…」

あたしも…このまま言わずにいれば後悔する時が来るんだろうか…。

あー…ダメだ。
決められない。
でも…よく考えてみればあたし…
言わずにいられない所まで追い詰められてないよね?

こうやってしのごの言ってるのが、まだ余裕がある証拠じゃない?