「いいの?このまま何も言わずに別れて。多分もう、二度と会えないよ?」

二度と会えない…。
そうなるよね、このままほっとけば…

仕事上だって、元々縁がないんだもん。
ただの営業職員と、事務のエライさんである内務次長…。

やっぱり結びつかないよ、どう考えたって。

「仕方ないよ。それだけの縁だったって事じゃない?」

あたしは無理やりそう言う事にして、言った。

「そうかな?あたしはそうは思えないけど…」

富美子は今までにないくらい険しい表情でそう言った。
彼女はあたしの言う事にまったく同意していない様子だった。

富美子はあたしの目をジッと見つめながら言った。

「尚美ちゃんの話を聞いてたら、内務次長と偶然会う事すごく多かったよね?それって縁があるって事なんだと思う」

確かに、イヤってほどアイツとは偶然に出会ってた…。

初めはなんでこんなにしょっちゅう会うのかって、ムカついて仕方なかったけど。
今は…
今はそれを心のどこかでいつも期待してる。

カフェに行っても、ついどっかにいるんじゃないかって。
皮肉なもんだよね。
会いたいと思った途端、会えなくなるなんて…