「なんだ?意外そうな顔してるな…?」

えっ!?
やっぱバレバレだったんだ…。
なかなかできないのよね、所謂ポーカーフェイスってのが。

「まあ、そうです…ね。内務次長はそんな風に、優しい感情を持ち合わせていないと思ってましたから…」

あたしは正直に思っている事を告げた。 

「だろうな…。今までの俺の君に対する態度を見れば、誰でもそう思うだろう…」

ほんとだよ…。
ほんとあたしに対しては鬼だったもんね、アンタ。

あたしは今まで気になっていたけど、絶対に直接聞けなかった事をこの際だから聞いてみる事にした。

「あの…今さらですけど…。内務次長って、あたし以外の職員にもあんなに厳しいんですか…?」

あたしの質問に、氷メガネはチラッとあたしの方を見てかすかに微笑んだ。

「…フッ…。他の職員が君ほど俺にたてつくと思うか…?」

あ…そっか…。
だよね。
普通、この人には絶対逆らわないよね?
コイツって見た目、超怖いしね。 

「じゃあ、やっぱり、あたしにだけあんなに怖いって事なんです、ね…」

「なんだ。まるで俺一人が悪いみたいな言い方だな。何もしてこない相手にまで厳しくするほど、俺は鬼じゃない。あくまでも、俺にたてつくような言動をするヤツに対してだけだ。うちの支社の管轄では、おそらく君だけだと思うが」

ふーん…。
やっぱりそうなんだね。
ま、あたしも黙って大人しくしてるタイプじゃないけどさ。

「スミマセン…。あたし、大人しく黙ってハイハイ言えない性格なんで」

「そのようだな。問題ある性格は直したほうがいいんじゃないか?」

ちょっと、それをアンタが言う?
問題ある性格はお互い様でしょーが!

あたしがそう思ってると氷メガネが自嘲気味に言った。