「いえあの…別に深い意味はないというか…えっとクソ生意気…、じゃない、理路整然とした態度でいらっしゃるのかなぁって」

少し怪訝な表情のまま、氷メガネは答える。

「そうですが」

そうなんだ、やっぱり。
支社長の前でも、その本心が全く見えないロボットみたいな感じなの?

それでも支社長はコイツをそこまで信用したんだ…。
なんでだろ…?

そんな重大事を誰彼ともなく話すわけないし、ましてや生方支社長はあの時あたしの味方をしてくれた唯一のエライさんだった…。

その人が話したって事は
もしかしたらコイツは…
案外いいヤツって事…?

「何か、ご不満があるようなお顔をされていますね…」

ヤバい…
見抜かれてる…。

こういう洞察力は確かにあるよね。
それとも、あたしが単にわかりやすいってだけか…?

「別に…。不満なんてありませんよ?」

氷メガネはまだ探るようにあたしを見てきたが、気づかぬふりに徹する。

「とにかく、私は生方さんの話を聞いて、自分があなたに言ってしまった事が間違いであったと…痛感したのです」

あたしが悪くなかったとわかってかわいそうになって…

それで同情して、今あたしに優しくしてくれてるってわけ?

「同情してくれたって事ですか…?かわいそうだから、あたしに優しくしてくれるんですか?」

「…………」