「今は体力をつけないといけません。でも、消化にいいものじゃないとダメですから。野菜たっぷりの洋風おじやを作ろうと思います」

ゲッ!
野菜たっぷりって…?

あたし、野菜も苦手なのすんごい多いんだけど…。

氷メガネが並べた野菜の中には、あたしの苦手系のものがたくさんあった。
にんじん、ピーマン、セロリ、かぼちゃ、茄子…。

まったく子供よりタチが悪い。
いい大人のくせに野菜が苦手なんて。

「ごはんは炊くのに時間を要しますから、うちのを持ってきました」

はぃ…?
うちのって、アンタのとこの、だよね…?

「できたら教えますから、楽にしていて下さい」

楽にしてって…言われても…
アンタがいると気になって楽にできないんですけど…

「あ。私の事は気にしないで下さいね。家政婦が来てると思って頂ければ」

いや、だから、こんな家政婦いないから!
あたしは氷メガネを気にしつつ、自分の部屋に入って携帯をいじって時間をつぶしていた。

やがて氷メガネに呼ばれ台所に行ってみると、テーブルの上にはおいしそうなものができあがっていた。

「これ…全部、内務次長が…?」

「まさに愚問ですね。他に誰が作るんですか?」

笑いながら言った氷メガネに、あたしもつられて笑ってしまった。