伊藤…伊藤…、伊藤?
伊藤ってまさか、氷メガネ?

あたしは一瞬頭が真っ白になった。
なんで、氷メガネがうちに来てるの??

思い巡らせていると、再びインターホンが鳴った。

あっ!
今、そこにいるんだった!

あたしは慌てて玄関ドアを開けた。
氷メガネは両手にレジ袋を提げて、立っていた。

「あの…昨日はありがとう、ございました…」

あたしはとりあえず昨日のお礼を言った。
氷メガネはそれに対して返事をすることなく、いきなり「お邪魔します」と言って、部屋にあがりこんできた。

「ちょっと…、何ですか、いきなり…!」

あたしが慌てて玄関ドアを閉めると、氷メガネは珍しく微笑みながらあたしに言った。

「どうせ何も食べていないだろうと思いまして」

グッ…
あたしは言葉を呑み込んだ。

なんで、そんな事わかんのよ…。

「薬が効いたのなら、そろそろお目覚めになる頃だと思いましてね。でもまだ病み上がりですから、無理はできないでしょう?だからこうして、私が参上した次第です」

いやいや…参上されても…
氷メガネはレジ袋からたくさんの食材を出し、テーブルに並べ始めた。