ここは…?

あたしは必死に記憶を手繰り寄せる。
確か氷メガネとデパート行ってあたしが途中で逃げて、転んでつかまって…。

それで…?
て事は何か?
ここは…まさか…?

『ガチャリ…』

ドアが開いてあたしが見たもの…

それは湯気の上がったカップを載せたトレイを持っている、氷メガネだった。

もうヤダ、このシチュエーション…、多すぎるんだけど…
気づいたらいつも氷メガネがいる、みたいな。

あたしが何か言う前に、氷メガネが先に口を開いた。

「ご気分はいかがですか?」

「…あ、はい…大丈夫だと思い、ます…」

「それは…よかった…」

え?
よかった、って?

しかも何?
その優しい顔…。

「お疲れがたまっているようですね。これ、飲んで下さい。温まりますから…」

湯気の出ているカップに入っていたのは甘酒だった。
あんまり得意じゃないんだけどな…。

そう思って飲むのをためらっていると、氷メガネは自らカップを持ってあたしに握らせた。

あったかい…。
それに、なんだかこの匂い…安心する…。

甘い物、あんまり好きじゃないはずなのに…。