「何か問題でも?」

「…いえ…あの…ここって、高い、ですよ…ね?」

「そうなんですか?」

"そうなんですか"って。
普通デパートとくれば、高級だって決まってんでしょーが。

「申し訳ありません。他にお店を知らないもので」

「高いものは困ります…」

あたしは意を決して氷メガネに言った。

「なぜですか?」

ほんとにコイツは…
いちいち説明しなきゃわかんねーのかって!

「なぜって…。内務次長にそこまでして頂く理由がないからです」

あたしは毅然とした態度でそう言った。

「確かにそうですね。ですが、これはお詫びですから」

「お詫びって…。たかが、缶のお汁粉を取ってあげた時にスーツが破れたってだけですよ?」

そう言ったあたしに、氷メガネの鉄板の無表情がゆがんだ。

しまった…。
勢いに任せてお汁粉って言っちゃった…。

「やはり、お汁粉だと気づいていらっしゃったんですね…」

「…ええ…まあ…。あ、でも!誰にも言いませんから!安心して下さい!」

「言いたければどうぞ、言って頂いても構いませんよ」

え…そうなの?
隠してるわけじゃ、ないんだ…?