駐車場について行くと、とある高級外車の前で氷メガネが歩みを止めた。

これって…
この超有名な外車がコイツの車…?

ヤバい…
あたしこんな車乗った事ないんだけど…。

「どうぞ」

氷メガネは当たり前のように助手席のドアを開け、あたしに乗るよう促した。

「えっ、でも…助手席で、いいんですか?」

思わず聞いたあたしに氷メガネは表情ひとつ変えずに答えた。

「逆に聞きますが、なぜダメだと思うのでしょう」

「いえ…別に…深い、意味はありませんけど…」

そういう人がいたら困るかなって、思っただけなんだけど…。
やっぱり気をまわし過ぎだね。

「それでは文句を言わずに乗って下さい」

何よ!
いちいち言い方にトゲがあんだから!
やっぱりコイツ、ムカつく!

あたしはむくれたまま助手席に乗った。
信じられないくらい座り心地がいい。
革のシートはすべりがよすぎて、緊張したままで座っていないと落ちちゃいそうだった。

「私の知っているお店でもよろしいですか?」

「え?…あ、はい…」

車に揺られてしばらくすると、氷メガネは駅前にあるデパートの駐車場に車を入れた。
県内で唯一のデパートだが、デパートだけに基本高級なはず。

「あの…ここですか?」

あたしは恐る恐る氷メガネに尋ねた。