素直に謝る氷メガネの姿に驚きすぎて見入ってしまう…。

「あの…弁償させて下さい…。私のせい、ですから…」

「えっ…でも…大丈夫ですよ…。安物だし、適当にまた安いの買いますから…」

「でもそれでは、私の気が済みません。お願いします…」

嘘でしょ…。
コイツがあたしに頭を下げるなんて…。

「あ…、頭を上げて下さい…。そこまでおっしゃるなら…お言葉に甘えて…。お願いします…」

流れのままにこう言ったものの、ほんとにいいのかな…?
あたしは自分で言った事に少し後悔し始めていた。

「ありがとうございます…。では、行きましょうか」

「え?行くって…?」

あたしは驚いて氷メガネに尋ねた。

「スーツを買いにです」

「今から…ですか?」

「だって…明日も仕事で着るんじゃないんですか?今日中に用意しないと、困ると思いますから…」

そっか…そうだよね…。
明日も着なきゃいけないもんね…。

氷メガネと連れ立って営業所を出ようとしたとき、あたしの携帯が鳴った。
見ると富美子からの着信だった。

そうだった!
二人とお茶するんだった!