「もう~、尚美ちゃんも笑い上戸なの?なんかあたしって変?最近よく人から笑われるんだよね…」

アンタ自覚してないんだね、やっぱり…
ほんと、天然記念物なみの鈍感さ。

でも厳しいこの世界でやっていくには、それくらいがちょうどいいかもね…。

「そんな事ないって。富美子はそのままでいて。これからもずっと。あたしはそのまんまの富美子が好きだよ」

あたしがそう言うと、富美子は恥ずかしかったようで顔を真っ赤にした。

「ヤダ~!尚美ちゃん、そんな恥ずかしいじゃない~!」

富美子はそう言ってあたしの背中をバシバシと叩く。

「だから、痛いって!」

「ほんと、尚美ちゃんと富美子ちゃんは仲いいんだから~!あたしちょっと、ジェラシーだな~!」

そう言いながら恭子がやってきた。

祐実と奈津子も、「お久しぶりです~!!」と言ってやってくる。

奈津子とは営業所が違っているとはいえ、同じビルだからたまに喫煙室で一緒になっていた。
それでも滅多に会えない。

「喫煙ルーム以来ですねぇ~」

奈津子はニコニコしながら、今の仕事が大変だと愚痴ってきた。
祐実も恭子も富美子も、全員まだ新規契約が取れてないと嘆いていた。

「いいなぁ~尚美ちゃん、いきなり新契約とってたでしょ」

恭子がうらやましそうに言う。