「ほかのみんなは?」

あたしが聞くと、「ああ、恭ちゃんも一緒にきたけどね、今トイレだよ」と富美子が言った。

「祐実ちゃんと奈っちゃんも来るってメールもらったけどねぇ…」

そうだった。
あたしも二人から今日の研修で再会するの楽しみだって、メールもらってたわ。

「ああ、来た来た!」

部屋に二つあるドアの後方から、恭子と祐実、奈津子が一緒に入ってきた。

「みんな!こっち、こっち!」

またもや富美子が大声で三人を呼んだ。

今日の研修はあたし達一番下っ端が集まるんだけど、あたし達以外にも同じ階級の職員は何人もいて。
毎月入社している営業職員は、一番優秀な成績をあげて昇進できたとしても、最低半年は階級が変わらない。
だからあたし達の前に入社した人たちも同じ研修を受ける為、ここに来ているのだ。

「富美子…。みんなが見てるって…。ちょっと声大きすぎだから」

あたしはまわりの人達の視線が痛くて、富美子に注意した。

「あっ…!そうだったね…。全然まわり見えてなかった…」

ほんとにアンタはそのデカい目、なんのためについてんの?

「ほんと、富美子は相変わらずだね…」

あたしは変わらず天然な富美子につい、笑ってしまった。