「何でしょうか?」

「あなたは…伊藤内務次長は、あたしの話を信じてくれたんですか…?」

別にコイツがどう思っていようと関係なかったけど、なぜか最後に聞いてみたくなった。

「どうでしょう?あの支社長が身代わりになってでも守ろうとした所を考えるとあなた方が正しかったのかも、しれないです」

「支社長がどうとかではなくて。あなたはどう思ってるんですか?」

あたし、一体何言ってるんだろ…。

「私ですか…。私は………別にどうだっていいでしょう。辞めるあなたに言う必要はないと思いますが」

何よ…コイツ…!
ほんとにムカつく…!

「そうですね!辞めるあたしになんて、言う必要ありませんね!どうも失礼しました!!」

あたしは思いっきり投げやりな言い方をした。

「どうしてあなたはそうなんですか?そうやって感情的になるから、悪印象を持たれてしまうんですよ?いい加減、学習したらどうなんですか?」

氷メガネはあたしが辞めるのをいい事に、言いたい放題じゃないか!

「感情的なのがあたしなんです!こんなあたしが好きだって人もいるんです!」

あたしの勢いにつられたのか、氷メガネはそれまでの口調を少しだけ崩した。

「へぇ~、そんな天然記念物のような人がいるんですねぇ。是非会ってみたいものだ」

コイツ、どこまでも口の減らないヤツめ…。