「ですが、残念ながら雲居さんは、あなたと同じ班の人間です。利害関係が一致している人の証言は無効です。他に誰か証人はいないのですか?」

そんな人間…いるわけない…。
あたしはギリリと唇を噛んだ…。
悔しくて悔しくて涙が出そうになる。

でも、コイツの前で泣くのだけは嫌だ。
まだ味方か敵かもわからない、コイツの前で…。

「いえ、他に証人は…いません…」

「わかりました。この話も、査問委員会で出しますので。それでは飯田さん、本日の面談は以上です。お疲れ様でした」

これで…終わり…?
これでもう今回の件についてあたしが何か言える事は金輪際なくなってしまうんだ…。

なんだかすっきりしない気持ちを抱えてこれからどうすればいいんだろう。

それに…
氷メガネは査問委員会の結果を追って連絡すると言っていたけど、連絡って所長を通して来るんじゃないの?
坂西が一枚噛んでいるなら、結果によってはまたアイツが一悶着起こすかもしれない。

あたしはM市からI市までの長い道のりを運転しながらずっと考えていた。

そもそもなんでこうなっちゃったんだろう…。
世の中の冤罪って、こうやって作られて行くんだね…。

あたしは生まれて初めて生きて行く事に虚しさを感じていた。