営業所に戻り、眞子と一緒に所長に報告する。
案の定所長はあたしの責任を厳しく追及してきた。
コンプライアンス違反にも該当すると。

解約は査定にひびくだけだが、コンプライアンス違反となるとそれだけでは済まされない。
程度によっては減給、降格、最悪解雇になる事さえあるのだ。

あたしは絶対に何かおかしいと思いながら、何も言えない事が悔しくて仕方なかった。

今回の事は重要な問題だと所長は意気揚々として言い放つ。

支社に報告するのはもちろん、今後同じような問題を起こさない為にも県内全ての営業所に報告すると言った。

しかもあたしの名前を出して、だ。
支社に報告するのは当然の事だけど、営業所へ報告するのに名前まで明らかにする必要はないはず…。

これはきっと単なる所長の嫌がらせだ。

でもそうなると、麻美にも黙ったままではいられない。
恐らく支社長の件も話さなければならないだろう。
眞子は全て自分に任せてくれと言った。

そして麻美と妙子を交えたランチミーティングの席で、眞子が全てを話した。

予想通り麻美はヒドくショックを受けていた。
一番ショックだったのはやはり、支社長との連絡が取れなくなってしまった事のようだった。

明日は我が身…
自分も攻撃の対象になるかもしれないと、怯えた。

「飯田さんはハメられた可能性が高いと思う。証拠がないからどうしようもないけど…。最悪、本社に掛け合ってみようとも思ってる…」

眞子のその表情には、ただならぬ決意があらわれていた。