まいったな…。
ほんとに忙しいから、一分一秒も大事にしたいんだけど…。

あたしが戸惑いを隠せないでいるとオーナーが

「今日はサービスでさせてもらうわよ!お金はいらないから!」

と言った。

お金の事で迷ってたわけじゃないんだけど…。
でもあんまり無下に断るのもどうかと思い、結局はやってもらう事にした。

もちろん、料金はちゃんと払うと言って。

久しぶりのエステは本当に気持ちよくて、気が付くとあたしは寝てしまっていた。

起きた時は既に来店してから三時間以上も経過していて、あたしは驚いてしまった。

「オーナー、起こしてくれたらいいのに~」

冗談めかして言ったあたしにオーナーは、

「だってすごく気持ちよさそうに寝てたから。起こすのが可哀そうだったんだもの…」

と言っていたずらっぽく微笑んだ。

いつもこの笑顔に誤魔化されるんだよね…。
美人は男だけじゃなく、女にも結構強いのかも…。

あたしはそんな風に思いながらサロンを出て営業所に戻った。
戻るとすぐ預かってきたものをかばんから出して、相川に渡すものは渡さなければならない。
特に現金は金庫が閉まる時間が決まっているので、それまでに渡すのが規則だった。