藤堂が退職するまでの約一週間は神経を張り巡らしていたために、かなりまいっていた。

そしてその藤堂も退職した。

でもまだ油断はできない。
あの所長がいる限り、藤堂が裏で糸を引いているのは明白だからだ。

だが成績を挙げることは変わらないし、マネージャー不在の班は何かと職員が掛け持ちでやる事が増えて、事実忙しかった。

忙しいのを言い訳にしてはいけないが、藤堂が辞めた事も手伝ってあたし達は細かい所まで慎重にできていなかった。

そんな時、既契約者であるエステサロンのオーナーから見直しをしてほしいとの依頼を受けたあたしは、早速サロンへ向かった。

久しぶりに会うオーナーは相変わらず年齢不詳の美しさで。
あたしにもVIPプランを勧めてきたが、忙しいと言って丁重にお断りした。

これは断るための常とう手段ではなく、ほんとに忙しかった。

オーナーの希望に合わせ予め作っていった数種類のプランを見てもらう。
その中でも一番保障の大きいものを気に入ってくれ、早速契約の運びとなった。

サロンには入れ替わり立ち替わりお客が来ていて、その盛況ぶりは目を見張るものがあった。
従業員も昔とは比べものにならないくらい増えていて、新たに今年中にもう一店舗、ネイルケアもできるサロンを開店予定と聞いた。