それに若い頃に離婚して今は独り身のはず。

でも、所長はあんなんだけど確か既婚者で…
ズバリ不倫でしょ?

「それじゃあ、やっぱりそういう関係で、二人は結託してるって事ですか…?」

「多分ね…」

「もしかしたら、今回退職するのも何か裏があるんですかね?」

「あたしも気にはなってるんだけど…。そこまではわからない…」

唯一の頼みの綱だった支社長との連絡手段が閉ざされてしまった事で、あたし達は相当なダメージを受けていた。

「飯田さん。この事はまだ、時田さんには黙っててくれる?きっと事実を知ったら彼女、また不安になっちゃうと思うから…」

眞子の言う通りだ。
麻美の事だから、支社長が味方につけなくなったと知ったらまたパニクるに違いない。

「わかりました…。雲居さんには?」

「ああ、妙子は大丈夫。ちょっとやそっとでビクついたりしないから」

確かに。
あの人は絶対に大丈夫そうだ。

「とにかく、頑張って成績だけは維持しようね」

ついこの前まで未来に希望を抱いて晴れやかな気分に浸っていたのに、アッと言う間に今度は奈落の底に突き落とされた気分だった。

だが、敵の魔の手はこれだけにはとどまらなかったのだった。