「…支社長の…奥様だった…。何か勘違いしてらっしゃるみたいで…取りつく島もなかったんだけど…」

ため息まじりに眞子がそう言った。

「まさか…日比谷さんと支社長が…その…変な関係とか、言われたんですか…?」

「…うん…。所長が奥様に、気をつけろと言ったらしい…」

あのヤロー!
どこまで最低なのよ!!

「アイツ…ホントどうしようもないヤツですね…」

「飯田さん、知ってた?藤堂マネージャーと、所長の噂があるの」

は?
噂って?

「知りませんけど…。なんですか、その噂っていうのは?」

「うちの所長、単身赴任でしょ。で、あんな感じだから営業職員から嫌われてるじゃない?でもそんな時、藤堂マネージャーがね、仕事のサポートをしてあげてたらしいの。
それで、そのうち…なんていうか…。男と女の関係、みたいな?」

え…
だって、藤堂と所長じゃ親子とまではいかないけど相当年の差があるよね?

「でも、藤堂は相当ババァじゃないですか…。いくらなんでも、そこまでは…」

あたしの言葉に眞子が反論する。

「じゃあ、飯田さんから見て、藤堂マネージャーって実年齢通りに見える?」

そう言われると…

確かに今世間でもよく耳にする、いわゆる美魔女だ。

とても五十五歳には見えない。
まだ四十代後半でも十分とおる。