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◽︎ウォリー
◾︎スキル:お助けマン
◾︎体力:1880
◾︎魔力:3670
◾︎攻撃力:239
◾︎防御力:233
◾︎魔法攻撃力:175
◾︎魔法防御力:186
◾︎素早さ:106

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「うわっ」

 鑑定師によって明らかになった自分のステータスを見てウォリーは思わず声をあげた。
 しばらく自分のステータスを確認していなかったウォリーだったが、久しぶりに鑑定師の元を訪れたら思いの外高くなっていた。
 ウォリーは元々治癒師のスキル持ちで回復などのサポート役だった。サポート役は直接モンスターとの戦闘の機会が少ないので攻防力は低い者が多い。それを考えると今のウォリーのステータスは普通では考えられない数値だった。
 失踪事件があった森で怪物にされた冒険者を治したり、ディーノの盗まれた財宝を見つけたり、つい最近ではコピとルアクを誘拐犯から救ったりと、冒険者の仕事をしていると人助けをする機会によく直面する。
 お助けポイントが貯まる度に少しずつステータスアップにポイントを使っていたウォリーだったが、今目の前に示されたステータスの高さは予想以上だった。
 しかし、ウォリーはポイントの全てをステータスアップに注ぎ込んではいなかった。
 現在のポイント残高は98700。10万近いポイントは常にキープするように心がけていた。
 自分が強くなる度に、お助けマンが要求するポイントはどんどん大きくなっていく。
 最初の頃は攻撃力を1回アップするのに1000ポイント要求されていたのが、今では1回につき4000ポイントまで上がっている。
 お助けスキルについても、取得の為の必要ポイントがどんどん高くなっているようだった。
 この先何が起こるかわからない。もしもの時の為にも、ある程度のポイントは残しておく必要があった。






「どうぞこちらへ」

 ギルド職員の案内でポセイドン一同は面談室に通される。
 今朝、伝書鳩を通じてウォリー達はギルドから呼び出しを受けていた。
 ウォリー達は顔を曇らせている。
 ギルドからの呼び出しにはいい思い出が無い。ウォリーの頭に、意地悪い笑顔を浮かべるダークエルフの姿が浮かんだ。
 そして、彼らが面談室に入るとその想像は現実のものと化した。

「よ〜やく来たね〜。待ってたよ〜」

 彼らを待ち受けていたのは、ウォリーの想像通りの笑みを浮かべたベルティーナだった。

「一体何の用だ!? 私達はもうギルドから罰せられるような事はやってないぞ!」

 彼女の姿を見た瞬間、ダーシャが警戒心を剥き出にした。

「まーまーダシャっち、そう怖い顔しないでよ〜。今回はちょっと質問させてもらうだけだからぁ〜」
「質問?」
「まぁまぁ座ってちょ〜」

 ベルティーナに促され、4人は腰を下ろした。

「この間あなた達は誘拐犯を捕まえたそうじゃん? 奴隷商人のアロンツォだっけ」
「どうしてその事を?」

 コピ達からの依頼はギルドを通さずに行ったものだ。アロンツォは捕まえてすぐ領主の元へ送られたはずなのでギルドがこの事を知っているのは妙だった。

「ちょっと聞きたいんだけどね〜、アロンツォは誰か仲間を連れていなかった?」
「一体何の目的でそんな事を聞くんだ!? あの事件とギルドと何の関係が……」
「質問してるのはこっちなんですケド〜?」

 ダーシャの言葉をベルティーナが遮った。唯一、この険悪な雰囲気の理由を知らないハナだけが不思議そうにしている。

「たしか、アロンツォの馬車にもう1人黒い服の男が乗っていたと記憶しています。その男は逃げてしまいましたが」
「顔は見たの? 何か特徴があった? 例えば服にシンボルがついていたとか」

 黒服の男という言葉に反応して、ベルティーナが身を乗り出した。

「いえ、夜でしたしよくは見えなくて……」
「も〜何やってんのよ〜、アロンツォだけ捕まえてそいつは取り逃がすとか……」
「あの時は僕ともう1人しか居なかったものですから。僕は捕まった人達を救出しなければなりませんでしたし」

 ベルティーナは溜息を吐いて首を振った。

「生温いな〜。捕まった奴らなんて後回しでいいっしょ? まずはそいつを捕まえるべきじゃん」

 彼女の言葉に、ダーシャが怒ってテーブルを叩いた。

「さっきから何なんだ! そんな事貴様らに関係ないだろう! まずは質問の意図をはっきりさせろ!」

 ダーシャの怒鳴り声が部屋に響いた直後、面談室に新たに人が入ってきた。

「そうだぞベルティーナ君。いくらなんでも失礼じゃないか」
「あっ……!?」

 そう言って入って来た男を見て、ベルティーナは硬直した。先程までの嫌らしい笑みは消え去っている。
 戸惑ったのはウォリー達も同じだった。
 入って来た男はこのギルドのトップだったのだ。

「ギルド……長……」

 ベルティーナは一気にしおらしくなり、か細い声でそう言った。

「うちのベルティーナ君が失礼したね、申し訳ない。今回の件、改めて順を追って説明しよう」

 ギルド長は手元の書類から1枚の紙をテーブルに置いた。
 紙には大きく紋章が描かれている。

「これはっ……」

 それを見て真っ先に反応したのはダーシャだった。
 彼女は紋章を睨みつけながら呟いた。

「真・魔国……」