========================
◽︎ウォリー
◾︎スキル:お助けマン
◾︎体力:1280
◾︎魔力:3470
◾︎攻撃力:71
◾︎防御力:53
◾︎魔法攻撃力:115
◾︎魔法防御力:82
◾︎素早さ:32
========================
ウォリーはギルドに寄る前に鑑定師の元を訪れていた。
鑑定師スキルを持つ者には冒険者のステータスを数値化して表示する能力がある。ギルド周辺には冒険者をターゲットにして、ステータス鑑定を行っている店がいくつか存在している。
「やっぱりヒーラーでずっとやってて戦闘する事が少なかったから魔力以外の数値が低いなぁ」
しかも今は回復魔法も使えない。この状態でクエストを受けるのは危険すぎた。
そこでウォリーはさっそくお助けマンの能力を試してみる事にした。彼は今日の昼にペンを拾った事で100ポイント入手している。
「えっと、ポイントを使うにはどうすればいいんだ?」
とりあえずポイントを使用したいという思いを込めて念じてみる。すると、すぐにメッセージ音が鳴る。
≪ポイントの使用目的を選択してください≫
≪ステータスアップ≫
≪お助けスキル取得≫
ステータスアップの方を頭の中で念じると、さらにメッセージが鳴る。
≪アップしたいステータスを選択してください≫
≪体力アップ:1900ポイント≫
≪魔力アップ:5200ポイント≫
≪攻撃力アップ:1000ポイント≫
≪防御力アップ:800ポイント≫
≪魔法攻撃力アップ:1700ポイント≫
≪魔法防御力アップ:1200ポイント≫
≪素早さアップ:700ポイント≫
「げえっ!」
ウォリーは急いで選択を中断した。
「殆ど1000ポイント超えだ…100ポイントじゃ全然足りないじゃん…」
彼は深くため息をついた。どうやらそう都合よくポンポンと強くなれる訳では無さそうだった。
「でも、あのお爺さんは人助けの内容の大きさで取得ポイントが変化するって言ってたよな…ペンを拾う程度じゃなくて、もっと凄い人助けをすれば沢山ポイントが入るかも…」
そう思うと彼の気分は一転。街中で困っている人がいないか探し始めた。
それから数時間。結局彼が稼いだポイントは1000程度だった。
大きな困難に襲われている人が街中で簡単に見つかるわけもなく、荷物持ちだったり道案内など小さな手助けを重ねて稼いだポイントだった。
「なんか、人が困る事を望んでいるかの様で自分が嫌になってくるなぁ…」
そう呟きながらウォリーは本来の目的地であったギルドへ向かっていった。
今日のギルドはかなり混雑していた。受付には冒険者がずらりと並んでいる。ウォリーはその列に並び、自分の番が来るのを待つ。
彼がギルドに来た理由は、新パーティの設立とそのメンバーの募集だった。ギルドを通して募集をかけると、掲示板に張り出されてフリーの冒険者に情報が行くようになっている。もしパーティ加入希望者が現れれば、ギルドからウォリーに通達が行く。
彼自身パーティ設立は初めての事だったので、緊張気味で列が進むのを待っていた。
すると、ウォリーの後ろに1人の女性が並んだ。
見れば肌の色は全身紫色。頭には角が生え、人間の白眼にあたる部分は真っ黒に染まっていて、その中で金色の瞳が怪しく輝いていた。
魔人族か…とウォリーは思った。
魔国と呼ばれる国に住んでいる種族。この種族の王は魔王と呼ばれている。大昔は人間族と魔人族は敵対関係にあって何度も戦争を繰り返していたが、現在は和解し双方共に平和な関係を目指している。
「おっと、邪魔するぜぇ」
突然、別の冒険者がやって来て魔人族の女性を突き飛ばし、ウォリーの後ろに割り込んで入ってきた。
「おい、そこは私が並んでいたのだが…」
当然彼女は抗議したが、冒険者の男は悪びれる様子もなかった。
「悪いが、このギルドは人間様優先なんでな」
国同士、今は争ってはいないものの、過去の歴史やその外見の不気味さから魔人族を差別する人間は多い。
彼女は割り込んできた男を睨んだがそれ以上言い返す事は無かった。こういう事には慣れているのだろう。
「あのー、ここどうぞ。代わりに僕が最後尾に並ぶんで」
ウォリーはそう魔人族の女性に声をかけた。差別されるのが日常だった彼女はそんな言葉をかけられるとは思ってもいなかった為、驚いて目を丸くした。
「いや、私はここで結構…」
「いやいやどうぞ遠慮なさらず!」
そう言ってウォリーは断ろうとした彼女の背中を押して強引に列に押し込んでしまった。
彼が最後尾に並ぶと、目の前の、さっき割り込みを行った男がチッっと舌打ちをしたのが聞こえた。
≪お助けポイントが30000ポイント付与されました。≫
「さ、ささ、3万!!?」
予想外の数字に大声を出してしまったウォリーに、周囲の冒険者達の視線が集中する。
彼はあっと気付いて自分の口を押さえた。
何かの聞き間違いだろうかと、ポイント残高の確認をしたいと頭で念じてみる。
≪現在のお助けポイントは31100ポイントです。≫
やはり聞き間違いでは無かったと分かり、ウォリーは現状を必死で理解しようとした。
彼がやった事と言えば列を少し前に譲っただけだ。街中で複数の人助けをしても1000ポイント貯めるのがやっとだった事を考えても、このポイント加算の量は異常だった。
彼があれこれと考えているうちに列が進んでいき、受付が目の前まで迫っていた。
ウォリーはひとまず受付で手続きを済ませると、ギルドの出口へ向かって歩き出した。
すると、彼の前に先程の魔人族の女性が立ち塞がってきた。
パンッ!
どうしました?と彼が声をかけるよりも前に、彼女の平手打ちが飛んだ。
「二度と私に話しかけるな」
彼女はそう言って真っ黒な目でウォリーを睨むと、ずかずかとその場から去っていった。
ヒリヒリと痛む頰を撫でながら、ウォリーはぽかんとしてその場に立ち尽くしていた。
◽︎ウォリー
◾︎スキル:お助けマン
◾︎体力:1280
◾︎魔力:3470
◾︎攻撃力:71
◾︎防御力:53
◾︎魔法攻撃力:115
◾︎魔法防御力:82
◾︎素早さ:32
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ウォリーはギルドに寄る前に鑑定師の元を訪れていた。
鑑定師スキルを持つ者には冒険者のステータスを数値化して表示する能力がある。ギルド周辺には冒険者をターゲットにして、ステータス鑑定を行っている店がいくつか存在している。
「やっぱりヒーラーでずっとやってて戦闘する事が少なかったから魔力以外の数値が低いなぁ」
しかも今は回復魔法も使えない。この状態でクエストを受けるのは危険すぎた。
そこでウォリーはさっそくお助けマンの能力を試してみる事にした。彼は今日の昼にペンを拾った事で100ポイント入手している。
「えっと、ポイントを使うにはどうすればいいんだ?」
とりあえずポイントを使用したいという思いを込めて念じてみる。すると、すぐにメッセージ音が鳴る。
≪ポイントの使用目的を選択してください≫
≪ステータスアップ≫
≪お助けスキル取得≫
ステータスアップの方を頭の中で念じると、さらにメッセージが鳴る。
≪アップしたいステータスを選択してください≫
≪体力アップ:1900ポイント≫
≪魔力アップ:5200ポイント≫
≪攻撃力アップ:1000ポイント≫
≪防御力アップ:800ポイント≫
≪魔法攻撃力アップ:1700ポイント≫
≪魔法防御力アップ:1200ポイント≫
≪素早さアップ:700ポイント≫
「げえっ!」
ウォリーは急いで選択を中断した。
「殆ど1000ポイント超えだ…100ポイントじゃ全然足りないじゃん…」
彼は深くため息をついた。どうやらそう都合よくポンポンと強くなれる訳では無さそうだった。
「でも、あのお爺さんは人助けの内容の大きさで取得ポイントが変化するって言ってたよな…ペンを拾う程度じゃなくて、もっと凄い人助けをすれば沢山ポイントが入るかも…」
そう思うと彼の気分は一転。街中で困っている人がいないか探し始めた。
それから数時間。結局彼が稼いだポイントは1000程度だった。
大きな困難に襲われている人が街中で簡単に見つかるわけもなく、荷物持ちだったり道案内など小さな手助けを重ねて稼いだポイントだった。
「なんか、人が困る事を望んでいるかの様で自分が嫌になってくるなぁ…」
そう呟きながらウォリーは本来の目的地であったギルドへ向かっていった。
今日のギルドはかなり混雑していた。受付には冒険者がずらりと並んでいる。ウォリーはその列に並び、自分の番が来るのを待つ。
彼がギルドに来た理由は、新パーティの設立とそのメンバーの募集だった。ギルドを通して募集をかけると、掲示板に張り出されてフリーの冒険者に情報が行くようになっている。もしパーティ加入希望者が現れれば、ギルドからウォリーに通達が行く。
彼自身パーティ設立は初めての事だったので、緊張気味で列が進むのを待っていた。
すると、ウォリーの後ろに1人の女性が並んだ。
見れば肌の色は全身紫色。頭には角が生え、人間の白眼にあたる部分は真っ黒に染まっていて、その中で金色の瞳が怪しく輝いていた。
魔人族か…とウォリーは思った。
魔国と呼ばれる国に住んでいる種族。この種族の王は魔王と呼ばれている。大昔は人間族と魔人族は敵対関係にあって何度も戦争を繰り返していたが、現在は和解し双方共に平和な関係を目指している。
「おっと、邪魔するぜぇ」
突然、別の冒険者がやって来て魔人族の女性を突き飛ばし、ウォリーの後ろに割り込んで入ってきた。
「おい、そこは私が並んでいたのだが…」
当然彼女は抗議したが、冒険者の男は悪びれる様子もなかった。
「悪いが、このギルドは人間様優先なんでな」
国同士、今は争ってはいないものの、過去の歴史やその外見の不気味さから魔人族を差別する人間は多い。
彼女は割り込んできた男を睨んだがそれ以上言い返す事は無かった。こういう事には慣れているのだろう。
「あのー、ここどうぞ。代わりに僕が最後尾に並ぶんで」
ウォリーはそう魔人族の女性に声をかけた。差別されるのが日常だった彼女はそんな言葉をかけられるとは思ってもいなかった為、驚いて目を丸くした。
「いや、私はここで結構…」
「いやいやどうぞ遠慮なさらず!」
そう言ってウォリーは断ろうとした彼女の背中を押して強引に列に押し込んでしまった。
彼が最後尾に並ぶと、目の前の、さっき割り込みを行った男がチッっと舌打ちをしたのが聞こえた。
≪お助けポイントが30000ポイント付与されました。≫
「さ、ささ、3万!!?」
予想外の数字に大声を出してしまったウォリーに、周囲の冒険者達の視線が集中する。
彼はあっと気付いて自分の口を押さえた。
何かの聞き間違いだろうかと、ポイント残高の確認をしたいと頭で念じてみる。
≪現在のお助けポイントは31100ポイントです。≫
やはり聞き間違いでは無かったと分かり、ウォリーは現状を必死で理解しようとした。
彼がやった事と言えば列を少し前に譲っただけだ。街中で複数の人助けをしても1000ポイント貯めるのがやっとだった事を考えても、このポイント加算の量は異常だった。
彼があれこれと考えているうちに列が進んでいき、受付が目の前まで迫っていた。
ウォリーはひとまず受付で手続きを済ませると、ギルドの出口へ向かって歩き出した。
すると、彼の前に先程の魔人族の女性が立ち塞がってきた。
パンッ!
どうしました?と彼が声をかけるよりも前に、彼女の平手打ちが飛んだ。
「二度と私に話しかけるな」
彼女はそう言って真っ黒な目でウォリーを睨むと、ずかずかとその場から去っていった。
ヒリヒリと痛む頰を撫でながら、ウォリーはぽかんとしてその場に立ち尽くしていた。