……はい!?
何で課長にそんな事を言われないといけないの?
深く付き合うなって……まだ会ったばかりなのに。
最初から疑うとか安西さんに対して失礼でしょ?
「あの……お言葉を返すようですがそれは、安西さんに対して失礼じゃありませんか?」
堪らずに言い返してしまった。
すると課長は、眉を寄せた。不機嫌そうに。
「怪しい人物に対して疑って何が悪い。
こう言った詐欺みたいな事件は、後をたたない。
お前は……隙があるかな。
宮下みたいなタイプは、騙されやすいから注意をしろと忠告をしてやっているんだ!」
「イケメンでお金持ちだからってだけで、偏見で決めつけるとか相手に対して失礼ですよ!?
安西さんとは、話してみましたが真面目で誠実な人に見えました。
仕事が軌道に乗る前って凄く大変なんですから、彼女にフラれたりもしますよ」
同じ経営者としてその気持ちは分かる。
課長の発言が凄く大きなお世話だと思った。
何気に私に対しても失礼だし……。
しかし課長は、ハァッ……と深いため息を吐いてきた。
「それは、宮下。お前がイケメンばかりに気を取られ肝心な部分を見ていないからだろ?
どーせ。イケメンなら何をしていてもカッコよく見えるとか馬鹿らしい理由で言っているんだろ。
どっちが偏見で見ているんだが……聞いて呆れる」
カチンと何かが切れる音がした。
あまりにもムカついたので思わず立ち上がった。
酷い……そんな言い方をするなんて!!
「そんなこと……課長に言われたくありません。
イケメンが好きで何が悪いんですか!?
男性だって可愛い人や綺麗な女性を見たら鼻の下を伸ばすくせに人の好みにケチをつけないで下さいよ!」
自分を否定されたようでムカついた。
イケメン好き。それが私なんだから仕方がないじゃない。
人には、好みにタイプがあるように私は、たまたまイケメンがタイプだっただけじゃない。
それが、何がいけないと言うのよ!?
課長に迷惑をかけた?人の価値観を押し付けないでよ……。
余計に傷ついて涙が溢れてきた。
「宮下、落ち着け。別にお前の好みを否定している訳じゃない。
俺が言いたいのは、その安西とかいう男があまりにも怪し過ぎると言っているんだ。
話が上手すぎる。
別にそれだけの地位やイケメンが、あるなら婚活に参加しなくても自然と女性が寄って来るし
他にも友人に紹介してもらうとかあるだろ?
なのに、わざわざ参加して宮下みたいな恋愛に疎そうな女性を狙うとか余計に怪しいと言っているんだ」
な、何よ……それ!?
それって結局私みたいな女が、イケメンの男に相手される訳がないと馬鹿にしてるのと同じじゃない。
本当の事だけど、直接言われると腹が立って仕方がない。