何故……?元でも上司なんだし部下の婚活を上手く行って喜んでいるだけなのに。
でも、気持ちがざわざわして落ち着かない。
「……はい。ありがとうございます」
おかしい。課長もおかしいけど、何より私もだ。
本来なら浮かれてもいいはずなんだ。
あの雲の上のイケメンが電話番号を教えてくれて好意を持ってもらえている。
なのに、わざわざ食事に誘われているのに断り、課長を捜しにここまで来てしまった。
しかも良かったなと言われているのに素直に喜べないなんてどうかしている。こんなの私らしくない。
「どんな人なんだ?その男は……」
「えっとですね……」
私は、モヤモヤしながらも安西さんの事を詳しく説明した。
だが、しかしハァッ?と言われた。
「……お前……それちょっとおかしくないか?」
「えっ……?何がですか?」
何処がおかしいのだろうか?
しかも何だか納得がいかないような雰囲気だった。
すると課長は、考え込んでいた。
「あまりにも話が上手すぎる。
あれだけのイケメンでIT企業の社長……年収7000万円。
しかも彼女が居ない……いや、それだけじゃない。
引っ掛かるのは……」
ブツブツと独り言を言い出してきた。
な、何なのよ……一体!?
良かったなと言ったと思ったら今度は、安西さんを疑うような事を言い出してきた。
ちょっと……ムカついてきた。
そんなにおかしいわけ?
いや、確かにあんなリッチで条件がいい男性が現れるなんて思わないだろう。
でも実際に現れたのだから仕方がないじゃない。
「宮下。あんまりその男とは、深く付き合うな。
会うなら疑ってかかれ」