「課長。もう……いつの間にか居なくならないでくださいよ!?捜しましたよ!
 急に辞退するなんて課長らしくありませんし」

 私のあまりにも腹が立ったので課長にそう言ってしまった。だが、すぐハッとする。
 あ、しまった。課長になんて口の聞き方を!?
どうしよう……怒られちゃう。しかし

「……そうか。確かに急に辞退するのは、不本意だな。すまなかった」

 課長は、アッサリ悪いと認め謝罪をしてきた。
えっ……?私は、その言葉に驚いてしまう。
 なんか……課長らしくないからだ。

 悪いと思ったら素直に謝るのは、この前知ったけど……いつもなら、もっと堂々としているのに。
 何だか素直過ぎて気が抜けてしまった。

「あの……少し言い過ぎました。すみません」

「何故謝る?俺が誘って行ったのだからお前が怒って同然だ。それより、座れ」

「は、はい。失礼します」

 課長に言われ恐る恐る隣に座ることにした。
同じのを頼むとチラッと課長を見た。
 熱燗を飲んでいた。なのに何だか寂しそうに飲んでいるように感じた。課長……?

「そういえば、あの後どうなったんだ?
参加者の男性に声かけられていただろ?」

 課長から突然話をふってきた。えっ……?
あ、やっぱり見られていたんだ?
 安西さんと話しているところを……。
いや、当たり前か。直前まで一緒に居たんだから

「えっと……電話番号を教えてもらいました」

モジモジしながら答えた。
改めて貰った事を意識すると恥ずかしくなってくる。
 でも凄いと思いませんか?これって……。

「……そうか。良かったじゃないか、お前好みのイケメンで」

えっ……?課長の言葉に驚く。
 課長……やはり私がイケメン好きなのを知っているんだ?いや。それよりも今良かったなって……。
 何故だか、そう言われると胸の辺りがチクリと痛んだ。