私は絶望している様子の水谷を放置して、自室に戻った。

部屋のドアを閉めた途端、涙が次から次とあふれた…。

…なぜ…もっと早く…言ってくれなかったの…。
私がここまで荒んでしまう前に…。

どうして今頃になって…あんな姿を私に見せるの…。
ずっとずっと見せてほしかった本当のあなたの姿を…。

もう…どうしようもないのよ…。
私は…引き返せない所まで来てしまったのだから…。

胸が張り裂けそうになり、自分で自分を抱きしめる。



そしてひとしきり泣き落ち着いた私は、クローゼットの奥にしまいこんでいるアルバムを引っ張り出した。

…それは、私と水谷が結婚した時の写真が入ったアルバムだった…。

結婚式、披露宴、そして新婚旅行…。
二人の数少ない思い出がつまった貴重なもの。

私は表紙から一枚ずつページをめくった。

まったく楽しそうに見えない二人。
そしてたった一冊しかないアルバムはあっという間に見終わってしまう。

本当にあっさりとしたそのアルバムは、まるで私と水谷の歴史を物語っているかのように思えた。

表面的な体面のためだけの結婚…。
中身のない、薄っぺらな家庭…。

ここで終了したところでなんの問題もない。

それくらい家族として成立していなかった。