もちろん水谷との事も小西の事も、最初からすべて隠さずに話した。
今まで誰にも打ち明けた事がなかった水谷への思いのたけを、私は初めて誰かに聞いてもらった。

沙由美は「智子がかわいそう…。水谷さんひどすぎる…」と言って私の為に涙を流してくれた…。
私にはそれだけで、もう充分だった。
沙由美に軽蔑されずに済んだ事が、私にとっては喜びだったのだ。

それから沙由美は影になり日向になり、私を支えてくれるようになった。

小西との事は諸手をあげて賛成はできないけれど、私が楽になれるなら、と目をつぶってくれていた。

私はようやく自分らしく生きれるようになった。

小西については色々思う所はあったが、ドライに付き合うには申し分ない相手だった。
お互いに割り切った事で解放感が生まれ、小西とはずいぶん相性がいいように思える。

裏に隠している本当の気持ちがないから…楽なのだ。

関係を続ける上で、二つのルールを決めた。

それは私に家庭がある以上、家庭を優先する事。
どちらかが嫌になればその時点で関係は終了する事。
ただし、会いたい時はいつでも連絡してもいい。

これが私にとって一番嬉しい事だった。

相手の気持ちを推し量って、言いたい事も言えなかった時とは大違いだったから。