小西の返事を聞いて迷っていると、さらに彼は続けた。

「…ふーん…。ちょっとはその気になってくれたみたいだね…。これは、水谷さんのダンナに感謝しなきゃいけないのかな?よくぞあなたをほったらかしにしといてくれましたね…って」

含み笑いを浮かべながらそう言う小西に、やはり嫌悪感は拭い去れない。
でも女の欲望が小西をスパッと切る事をさせてくれなかった。

そして実はどこまでもズルい私が、顔を覗かせる…。

「先生…。ドライな関係になる前に、一度試させてもらえませんか…?」

小西は私の言葉を聞いて再び含み笑いをした。

「…水谷さんも…大人しそうな顔して結構な人じゃない。確かにね。相性って…あるもんね…。いいよ。今夜早速どう?」

私は無言のまま頷き、小西の提案を受け入れた。

そしてお互いに納得ずくの、人には言えない関係が

この日から始まったのだった…。

だがこの不貞が後々自らの首を絞める事になるのを…まだ私は知らない。

人の道に背いた罰が…自分にではなく自分以外の大切なものに向けられる苦しみを

嫌というほど味わう羽目になる事も…