「まぁ…平たく言えばそういう事になるんだけど…。どっちかといえばもっと気楽な…いわゆるセフレってやつ。そこに愛情はないわけだからさ。ああ、そうか、確かにそれならダンナとさほど変わらないよね。わざわざ僕と関係持つ必要ないかもね」

小西はまるで自分が正解を発見したかのように、フムフムとうなずきながら言った。
私は確かに小西の言う通りだと思った。
水谷との生活も愛情がないのだから、敢えて愛情のない関係を増やす必要もないのではないか、と。

でも、小西と水谷とは、決定的な違いがある。

それは…私の愛情。

水谷に対しては懲りもせずに愛情を持っている自分がいる。
だからこそ、愛情のない水谷との生活が虚しくてたまらないのだ。
その虚しさを忘れていたいがために、仕事に没頭している。

だけど、私も生身の女である事は否定できない。

水谷に初めて抱かれてから、義務的とはいえ、定期的に夫婦としての行為を続けているうち、いつしか私の身体はちゃんと快感を得られるまでに成長していた。

もちろん今でも、いつも女として満たされたいと願っている。
たとえ水谷に愛情がなくても、それでも私の気持ちは彼にあるのだから。

でも夫婦として破たんしてしまった生活の中で、その可能性は限りなく皆無に近かった。