「子供たちの食事の事は、私も少し考え直します。ただ、仕事はセーブするつもりありませんから」

私はそう言って、ドスドスと廊下を歩き自室に戻った。

本当はこんな風にケンカなんてしたくないのに…
なんであんな言い方しちゃったんだろう…。

大きくため息をつきながら、私は自分の言動を後悔していた。
いつも以上に刺々しくなってしまった本当の理由も…わかっている。

小西に私と水谷の真実の姿をつかれた事が嫌だったのだ。
わかっていながら気づかぬふりをしていた事を、よりによってあの小西に指摘されてしまったから。



それからの私たちは、顔を合わせるとケンカをするようになった。

水谷は声こそ荒げる事はしないが、その瞳には私への憎しみが宿るまでになっていった。
一方の私は、水谷への気持ちが冷めたわけではなかった。
けれど、どれだけ長い時間を家族として過ごしていても、水谷の気持ちが全く変わっていない事に私は段々と限界を感じ始めていたのだ。

だから今までのように腹立たしい事があっても知らん顔をしていられなくなって、つい嫌味を言ってしまう。

それほど、この生活は知らず知らずのうちに私の心を蝕んでいた。