インフルエンザが流行るのがいい例で、冬場はたいてい患者数が増える。

四季折々でその時季特有の病気が流行るけれど、冬場は他の季節と比べると段違いだ。

その日もいつも以上に患者で溢れかえる受付ロビー。

受診後支払を待つそこでは、長時間待たされている患者のフラストレーションがピークに達していた。

そんな時にもかかわらず、私は失敗してしまったのだ。

慣れないソフトで入力し、計算を終えて支払番号をアナウンスする。
番号を呼ばれた患者がカウンターへやってくるので、請求書に記載された名前を言って確認をするのだが…。

私が呼んだ患者は、請求書に記載されている人ではなく別人だったのだ。

焦った私は、

「申し訳ありません!確認致しますので、少々お待ち下さい!」

と頭を下げて裏の事務室へ下がろうとした。

しかしその患者は怒ってしまい、私に向かって大きなドスのきいた声で怒鳴りちらした。