「松島さん…。この前も言いましたが、僕としては前向きに考えていきたいのです。初めてのデートで申し訳ありませんが、僕と…結婚して頂けないでしょうか?」

水谷の突然のプロポーズ。
いや、突然というよりは、まさかの…だ。

何も答えられない…。
答えられるはずがない。

むしろこの状態で返事できる方がどうかしている。

私は驚きすぎて、今起こった事を頭の中で整理できずにいた。
冷静にならなくては…と私はありとあらゆる方法で自分を抑止する。

そして私はやっとの事で言葉を発した。

「…ひとつ、お伺いしても…いいでしょうか?」

「何でしょう?」

私は意を決して水谷に質問した。

「なぜですか?なぜ、私なんですか?…水谷さんほどの方なら…お見合いなんてしなくても、相手の方はみつかると思います…。それが、どうしてこんな平凡な…なんの取り柄もない私なんかに…」

そこまで言うとあまりにも自分が惨めになり、涙が出てしまった。

私の涙を見て水谷がハンカチを差し出す。
すべての行動がスマートすぎる…。

そして水谷は優しい口調で言った。