見合いをしてから一週間くらい経った頃だろうか。

初めて水谷と二人で会う約束をした。
いきなりショートメールが入りデートの誘いを受けたのだ。

電話でなかった事に一瞬気持ちが沈んだが、それよりも誘ってもらった事実が私を有頂天にさせた。

水谷は営業という職業柄土日は仕事なのだが、土日が休みの私に合わせ有給休暇をとってくれたようだった。

そんな些細な事にも喜びを感じる。
私に会うために自分のスケジュールを調整してくれる…。

普通の恋人同士なら当たり前の事なのだが、恋愛初心者の私はそんな経験がない事もあり、舞い上がってしまった。

そして私は人生初のきちんとしたデートに心が浮き立って、その日が待ち遠しくて仕方がなかった。

そしていよいよデート当日。

水谷は約束の時間通り私の自宅に車で迎えに来てくれた。
彼くらいの年齢の人が乗るにしてはあまりにも高級なその車を見て軽くひいてしまう。

笑顔をたたえながらスマートに助手席のドアを開け私をエスコートする。
そんな事にすら慣れていない私はどうしてもぎこちない動きになってしまった。

車の中でも緊張のあまり会話が弾まない。

元々話題が豊富でない私は、水谷とどんな話をしていいのか全くわからなかった。
そもそも二人の共通の話題もないのだから、この状況は仕方がない。

私は気まずさに耐え兼ねて、ただうつむいていた。

すると水谷は黙り込む私をさほど気にする様子もなく聞いてきた。