考えさせて欲しいと言った私に、部長は納得したようにうなずきながら言った。

「そうだね。あまりにも唐突な話で、松島くんも心の準備が必要だろう。
ただ、申し訳ないが、先方も急いでいらっしゃるのでね。来週には返事をもらいたいんだが…いいかね?」

「来週…ですか?」

あまりにも短い期間に驚く。
なぜそんなに早く結論を出さないといけないのだろう?

相手の都合なのだろうが、ただでさえ迷いまくっている私がすぐに答えなど出せるわけがない。

…それなら…

今断ってしまった方がいい。変に気を持たせるような返事をして、やっぱりやめると言えば、部長も困るだろう。
そう決心した私が口を開こうとすると、部長が思い出したように続けた。

「あ、そうだ。一応写真と経歴書だけ渡しておくよ。相手の情報が何もないのに考えるも何もないだろう?」

そう言って豪快に笑いながらA4サイズの厚紙ファイルのようなものを私に差し出した。
ファイルを手に取り表紙を開く。

写真を見た私はあまりの衝撃に絶句した。