初めて自分から好きになれた人が、こんなに冷たい人だったなんて…。

私は水谷の私へのあしらい方に打ちひしがれていた。

イケメンにこっぴどく振られた経験などない私は、初めての出来事に戸惑ってしまう。
別に私は面食いではないし、今までの経験でもそれは証明されている。

でも水谷は誰から見てもイケメンだし、背も高い。
見た目がいい男には間違いない。

それだけで彼に惹かれたかとも思ったが、やはり違う。

滅多にない事だが、たまにうちの病院にやってくる研修医の中にはかなりのイケメンもいた。

そんな研修医に周りが熱を上げている時でも、私は一切の興味が湧かなかった。

だから水谷への思いは決して見た目から来たものだけではないと思いたい。

古臭い言い方だけど、ビビッと来る、そんな運命的なものを感じたのだ。

たとえそれが私からの一方的な思いだったとしても、これで簡単に諦めきれない未練がいつまでも私を苛んだ。